無機質に流れるニュースの音は真実を伝えない。街角を不条理に支配する爆音と砂塵。「まるで花が咲くみたい」教示しているのだ、破壊は美しかった。もう戻らないもののようにうつくしかった。桂の階段を上る足音はいつだって小さいのだから少し泣ける。抱きしめる毎に身体はまた薄く固く、綺麗に並んだ背骨の形をうずくまる背中に映し出すんだろうなあ。背負わないとあの冬に決めたので、背負う代わりに向かい合っている。向こう側とこちら側の境界線上で爪先立つ桂の白い頬だとか首筋だとかに鮮烈な欲望と凶暴な抑制が浮かんで、その狭間で動けない身体は金属的な軋みをあげて錆び付く。癒やそうとして伸ばす桂の指先もされどすでに蒼く錆び付いているから滑稽なものだ。互換性の侵食は救い出される隙を持たない。惰性やら慣性の、そんなものが俺たちに呼吸させているよな、と言ったら微笑んで頷くあの男を抱きしめる耳元で「かわいそうに」とつぶやく。