そういえばいつも冷たい手をした男だったと思いながら何気なく絡め合わせた指はやはり冷たく凍えて死者のようだと思う不吉さに戦場の頃は必死になって撫でてさすってあたためて過ぎて甲の赤く疼痛のするほどになったそれを二人笑った思い出に動かされる両の手に包んであたためる掌をあたためてそれで俺の知らぬうちに桂の独り過ごして流した涙は手足を冷やした幾年の冬は取り戻せるわけもなく取り戻せぬことの罪滅ぼしというわけでもなくただその手をあたためてあたためて赤く染まる甲の色に頬の色に昔のように二人笑い合えればよかったそれだけなのに胸は切なく耳に桂の嗚咽を聞いた。それは幸福だった日のしっぺい返し。