冬の気配を厭うような十月の某日。陽は高くのぼり熱く地面を焼く。摂氏温度36の只中で額にかくものは汗、喉元に重くのしかかる殺意。あの男を殺したい。懐の小刀。俺を愛すると言う肉を切り裂いて真実を取り出そうと誓う視線の先に土の上虫が這う。あの男の眼を覆う慕情はまやかしである。二人を繋ぐものが、殺意以外であってはならないという真実。俺が土方を愛していないという真実。ああ、頭が、重いのは、おそらく。熱中症を起こしかけている。