畳の目をゆっくりと数え上げてゆく。
ひぃ、ふ、み。と、まあこの風で。
ゆるりゆるりと数え上げても得るものは無し。 ただ想う人の訪うことのない闇の明けるを耐えるそれだけで。ただそれだけで。
よ。いつ、むぅ。
二人で夜を明かす丹田の辺りに熱の籠もるあの不埒に慣れてはならぬと戒めの、彷徨う辺りはどこかしらどこかしら。 もはや今宵の交歓の、その不在すら穏やかならぬ因果の身体だというに。
なな、やァ。
(冬の、寒さに肉、の、石膏に変わる、頃、あの人は往きました)
と、ぉ。
(永訣)
さればさせめて二人の情の、かつては(そうもはやかつては)しっとりと交わる重みを受け止めたこの畳を慰みに。
とおあまりいち。
今宵も眠れぬ暗がりを、数をかぞえて過ごそうと。 とおあまりに、とおあまりさん、とおあまり……。
(それはまるで二人畳の上で過ごした夜を数えては惜しむように)