夢を見るために眠るわけではなくてただただ疲れているから眠るだけだといういい訳をしながら目を閉じれば浮かぶしろくてほわほわと浮つく髪の残像に逃避する時間が思いの外に幸せだから最近は目を閉じてうとうととまどろむ時間がながくなりながくなり目をしかと開るのは天人の身体を切り刻む時だけになってしまっているからどうにも自分は今天人の身体を切るためだけに生きている生かされているようでそんなのは嫌だなともう習慣のようにまた目を閉じながらそんなことばかりをぼんやりと考えていたからいっそずっと目を閉じたこのままで昔のむかしの夢の世界に生きるのもいいかもしれないと茫洋とした心持ちのままに思いどう思う高杉と傍らの人に声かけ訊いてみたならば、くそったれ、と罵られ、じゃあ死ねばいい死んでオレ独りを置き去りにお前独りが幸せに、と残った右目もギラギラとして狂う人そのものの強靭さでギュウギュウ首を絞められるものだからああ胸と息とが苦しく苦しく苦しくなって思わずその手を跳ね除けた。よく晴れた日の差す光の中に真っ赤に染まった大地の上。周囲は幸せな屍骸たちと高杉の絶望に満ちている。桂が死に損なったのは、そういう日。