二人合わせた身体の熱が脆い皮膚を溶かして粘液に変えてゆく(腹の上腹の中皮の一枚を隔てた所に奇妙なシンクロで放たれた熱い精液のあふれ流れ出す感触が加速させるイメージ)錯覚。とろとろ溶岩の熱く流れて冷えて固まるように固体は液体に成り変って二つの肉体は変性。溶け合わさってぐずぐずになって残るのはたった一つの塊もう離れたりはしないたった一つの固体、という幻想、を、夢見た夜の帳ももうすぐ明けて朝になる布団の上には二人二つの肉体が人格がちゃんとそこにはあって離れ離れに横たわっている現実が桂の網膜を焼いて尽くされたのは夜の記憶、感情、夢、つながり。「もう来ないよ」そうか「お前とつるんでると危ないもん」そうだな「ろくな死に方しないよ」いまさらだろう「……お前のね、そういう欝なところが俺は嫌いだった」……。「さよなら」さよな、(涙は出ない大丈夫表情の作り方を忘れた哀しい顔などもうできない大丈夫早く出て行け大丈夫だか)ら……。片袖だらしなくさせて出て行く銀時を留めもせずに遠く消えて行く背中をぼんやりとただ見送る。こうなることは分かっていたから大丈夫、重ならない溶け合わない離れたりしないなんてことは無い結局は独りきり、分かっていた大丈夫(なんて嘘だ「いかないで」「さみしい」もう遅い)けっきょくはひとりきり。暗い部屋、畳の上、埃の下、ところどころ白くあるいは黒く丸く残された汗の精液のその他体液の染みだけ、が二人一つの夢の名残のように、静かに、そこに、それだけが二人の。